Q.中小企業向けの株式に関する税制度はどう変わったの?
事業継承税制の特例ができ、かなり優遇されることに
中小企業の経営者の高齢化がすすみ、今後5年間で30万人が70歳を超えるといわれています。その半数以上が後継者問題や相続税などの税負担などの問題を抱えたまま、事業継承の準備を終えていないというのが現状です。業績のよい会社や、すばらしいものづくりをしている会社が、後継者がいないためにやむを得ず廃業してしまうことは、雇用の維持や地域経済の活性化を図るうえでも大きな損失になります。そこで、こうした問題を解決するために政府は、平成30年に「事業継承税制」についての特例措置の期間を設けました。
この制度は、事業を受け継いだ後継者が会社を経営していく場合、納付すべき非上場株式にかかる相続税と贈与税が100%免除されるようになるという画期的な税制改革です。もちろん、この制度を利用するには、さまざまな条件とルールがあります。この制度の主な内容は以下になります。
期間限定の特例措置
期間は、平成30年4月1日から平成39年12月31日まで。
相続税・贈与税の納税猶予の対象
今までは納税猶は発行されている全株式の3/2までが上限でしたが、全株式対象に。
適用要件は、特例承継計画書(事業計画とほぼ同じ内容)の提出
平成30年4月1日以降、5年以内に事業継承者や継承時まで事業計画などを記載した特例継承計画の作成を行う。
複数の後継者への贈与・相続に対象を拡大
ひとりの後継者から、後継者を含む複数継承者が対象に変更。親族外への継承も可能に。後継者に株式を贈与するときは、後継者の年齢は20歳以上、3年以上取締役であることが条件。
そのほか、この制度は、中小企業の事業や雇用を守るという目的もあるので株式を相続した後継者は5年以上、株式を保有する社長であり続けることや、雇用は8割を守ることなどルールがあります。正当な理由もなくかつ勝手にこのルールを破ると、猶予されていた税金に利息までつけて支払うことになるので注意しましょう。
