Q.親の借金を相続すると税金は安くなるの?
相続すれば債務控除があるので、課税対象額を減らすことに
親や親族の遺産を相続する場合は、不動産や預貯金などプラスの財産も借金などマイナスの遺産も相続することになります。相続する場合は、借金などのマイナス財産は相続財産から差し引かれます。これを債務控除といいます。債務控除を行うと、課税対象となる財産額を減らすことになるので、相続税の負担を軽減することになります。
ただし、債務控除されるものには、住宅ローン(団体信用生命保険付きでない)など銀行からの債務、自動車ローン、クレジットカードの未払い、所得税や固定資産税、住民税の未払い、葬式費用(初七日や四十九日などの費用、香典返しの費用などは除く)、被相続人が死亡したときにあった債務と認められるものという決まりがあります。保証債務や延滞金、加算税などは控除の対象でない場合もあるので注意しましょう。
では多額の借金があった場合はというと、放棄しなければ多額の借金を背負うということもあります。相続には「単純承認(無条件で財産を相続する)」「相続放棄」「限定承認(条件つきで相続する)」の3つがあります。
相続または放棄するかは、相続を知った日から3カ月以内と決まっています。相続する財産よりも、借金が多い債務超過である場合は、相続放棄が堅明かもしれません。ただし、相続放棄は、撤回することができませんし、遺産を放棄してしまうと不動産や預貯金などすべての遺産を放棄することになるので、住む場所を失うということもあります。
このように放棄するか相続するのか、相続する財産と借金のどちらが多いかがはっきりせず判断しかねるということもあるでしょう。そんなときは「限定承認」という方法があります。相続財産の範囲内で借金を支払い、残った財産を相続するという方法で、相続する財産を超えた借金を背負うことがないということです。この方法は、財産目録を作成し、家庭裁判所に申請します。こちらも財産を相続した3カ月以内に申請する必要があります。
けれども、限定承認は一部でも財産を処分していたり、財産目録に記載漏れなどがあったりすると、単純承認になることがあります。また、相続人全員の合意が必要なので、意外に手間のかかりハードルの高い方法もいえるかもしれません。多額の借金がある場合は、税理士や弁護士など専門家に相談しましましょう。
