Q.生前の準備で相続トラブルは減らせるのでしょうか?
A.生前から親子で備えておくことでトラブルの回避は可能
相続のトラブルで多いのが、①遺産分割の不合理性(平等に遺産分割されない)②未知の負債、③隠れ保証、④隠し子、非嫡出子の存在です。トラブルで一番多いのが、①の遺産分割の不合理性です。当事者だけではなくその配偶者、その親族も含め口を挟む場合は多々あり、問題を複雑にします。
こうした相続トラブルに発展する問題は避けることはできないかというと、そうではありません。生前から準備することでかなり避けることは可能です。対策は、唯一、当たり前のことのようですが生前から親子で話し合うことです。親が亡くなったあとに、遺産分割について兄弟姉妹で話し合うと、仲のいい兄弟姉妹でも100%といってもいいほどもめます。例えば子どものうち誰かが親の面倒を見ようものなら、財産は平等に分けられません。親の面倒を見る価値は誰もが公正に判断できないプライスレスなものと言えます。相続問題は、後で子ども同士の間でトラブルにならないように生前に準備するのが〝親のつとめ〟だという心がまえをもつことが大切です。
親は誰に何をどれだけ残すかは遺言書に書くだけでなく、理由もあわせて子どもに伝えて遺言書の内容に納得してもらうことです。親が亡くなった後も子どもたちが仲よくすごせるかどうかは、親の相続に取り組む姿勢によって大きく変わります。しっかり備えることでトラブルを回避することはできます。
相続に関係ない人には口出しさせないことが鉄則
では反対に、相続する子どもができることはというと、親が率先して相続の準備ができるように働きかけることです。親が元気なうちは相続問題について相談しづらいという人は、「エンディングノート」を活用してみてはいかがでしょう。親子で話し合うきっかけづくりとして最適なアイテムです。高齢者向けの終活で人生を振り返るためのノートとして注目されましたが、預貯金や不動産などの財産、親戚関係、友人といったことも記しておけるのでおすすめです。親の子どものころや友人関係などの話をしながらノートをつけると、相続の話もスムーズに進むのではないでしょうか。
ただし相続について話し合うときに注意したいのが、相続に関係ない人になるべく口出しさせないようにすることです。とくに子どもの配偶者が口だししはじめると、まとまりかけた話もまとまらなくなるという事態を招きます。配偶者も家族ですから相続に関係ない人というわけでないのですが、円満解決するには、相続人のみで話し合うことが鉄則です。
