相続
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Q.きょうだいが相続税を払わないとどうなるの?

A.相続したきょうだいが支払うことになります

親の遺産を子どもたちで相続し、課税対象であれば相続税を支払うことになります。

きょうだいAとBがそれぞれ相続して、それぞれが納税手続きをして現金で支払います。Aは期限内に相続税を支払いましたが、Bが支払いを怠った場合、Aに Bの相続税の支払い義務が発生します。Aはきちんと納税しているので理不尽と思われるでしょうが、相続税は相続人が連帯で納める義務があるからです。Bが支払えないと判断されると税務署から、税務署から「納付通知書」が届きます。支払うときはBの相続税と滞納した年月分の利子税を支払うことになります。

もちろん、きょうだいの間で後で返してももらうように請求することはできます。けれどあるケースでは、弟が自己破産したので相続税が支払えなくなり、兄が支払うということがありました。自己破産していると弟に請求したくても返してもらうことが難しいということもあるのです。ただし、連帯納付義務で納める税金は、相続した財産の額を超えて納税することはありません。

連帯納付義務が緩和したけれど……

こんな法律は理不尽だ! 連帯納付義務を解除する方法はないかと思われる人もいるでしょうが、基本的にはありません。ただ2012年に法律が改正され、連帯納付義務が解除される場合があります、それが以下の2つです。

① 申告期限から5年を経過しても、連帯納付義務通知が届かなかった
② 納税義務者が、延納または納税猶予の適用を受けた

① は5年も経過するということは税務署のミスでしか起こらないまれなケーです。②は、期限内に現金で相続税を支払うことができない場合、相続税の申告期限内に手続きすると、延納することができます。この場合は、一緒に相続したきょうだいや家族の連帯納付義務はなくなります。

相続税が一括で支払えないときは、延納手続きの手続きをしましょう。認められると、分割で支払うことが可能になります。

ただし、延納手続きを受けるには厳しい条件があります。また分割できるのは全額ではなく、「納付が困難な金額を上限」となっています。もし延納が認められないまま相続税を支払わないと、高い延滞税が加算されるので注意しましょう。

●延納の条件

① 相続税額が10万円を超えている
② 現金で一括納付がむずかしい
③ 担保が必要(国債など公社債、株式、不動産など)
 ※ただし、不動産はローンや共有名義であると担保として認められないこともあります。

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税理士・板倉 京
株式会社ウーマン・タックス 代表取締役